手術と治療

● 手術法と治療法の紹介

手術のポイントは「乳房をどのくらい切るか」です。

2つの手術法を中心に紹介します。ポイントは「乳房をどのくらい切るか」。温存といっても、いろいろな程度、方法があります。どのくらい切ることになるのかは、患者のがんの状態によって決まる


手術法のいろいろ

  • 乳房切除術
    現在の日本では、胸筋を残す胸筋温存乳房切除術が最も標準的です。昔の手術法に比べ、外見上の変化や腕、肩の運動障害は小さくなりました。とはいえ、腕のむくみや筋の萎縮への対策として、十分なリハビリが必要です。
  • 乳房温存術
    腫瘍とその周囲だけを切除して、乳房をできるだけ残す手術。乳房温存術を受ける人の割合は年々増加しています。いくつか方法があり、切除範囲が小さくなればなるほど、外見への影響や運動障害は軽めになる一方、残った乳房にがん細胞が取り残される可能性もでてきます。
  • 乳房再建とは?
    手術によって失われた乳房を、形成外科的に作り直す手術。乳がんの手術と同時に行う方法と、時期をおいてから再建する方法があります。乳房再建はできる場合とできない場合があるので、希望する人は手術の前によくお医者さんと相談してください。


治療法のいろいろ(手術以外の治療法について)
  • 化学療法
    手術の前後や再発した時に、抗がん剤による治療を行うこと。しこりが大きい時は、手術の前に抗がん剤でしこりを小さくしてから手術することもあります。最近では、手術前に化学療法を行うことで乳房温存率が上がることが、臨床実験で明らかになっています。(主な副作用:消化器、骨髄〈血液〉への影響、脱毛など)
  • ホルモン療法
    乳がん細胞の中には、エストロゲンというホルモン(女性ホルモン)の影響を受けて増殖するタイプ(エストロゲン受容体陽性)のものがあります。このタイプのがん組織に対して、抗エストロゲン剤を用いてエストロゲンの働きを抑える療法がホルモン療法です。(主な副作用:投与する薬剤によって異なるが、他の療法より副作用は小さい)
  • 放射線療法
    手術で取り残した可能性があるがん細胞を死滅させ、再発を抑えるために、しこりをとったところに放射線を照射する療法。一度に照射する放射線の量を減らし、正常組織への影響を小さくするため、照射は何度にも分けて行われます。(主な副作用:皮膚炎、肺炎のような症状)

p18_1.gif